あの人を想ふ。-恋愛終電車- -9ページ目
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決めた

やはり自分に嘘は付けない。

もう一度会ってお礼を言う。

回想

昨日俺は同僚と飲んでたんだ。

金曜ということもあって調子に乗りすぎていたのかもしれない。

丸の内線の終電は逃し、中央線で帰ることになった。

酔いつぶれていた俺は終電車の中で眠ってしまい、自分の駅を通り過ぎてしまった。

そして終点まで来たとき、ある女性が俺の肩をポンと叩いて起こしてくれた。

俺は慌てて飛び起き、彼女にお礼も何も言わず走り去ってしまった。

社会人として恥ずべき行為をしてしまったことを詫びたい気持ちと、

起こしてくれた御礼をしたい気持ちが今になって込み上げてくる。

でも、この広い都会の中で彼女に会うことはもうないだろう。

こんなところで言ったところで彼女に届くわけはないだろう。

でも、俺は言う。



ありがとう。

まだ夢から覚めない。

終点で起こしてくれたあの人に惚れてしまったかもしれない・・・。

いや、正確に言うと惚れたのじゃないのかもしれない。

顔もちゃんと覚えてないのだから。

正直に言おう。

会ってお礼が言いたい。

この気持ちは恋なのか?
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